【塗料の知識③】塗料を薄める悪徳業者がいる?必要な塗料の数と適切な希釈方法

塗料の知識シリーズ第3弾で、今回は塗料の使用数量と薄め方について。

過去の記事はこちらから!

「A社から貰った見積書に使用塗料が2.5缶って書いてあるんだけど、これって少なくないですか?」

このお客様はネットで「悪徳業者は塗料を薄めて塗装し、塗料代を浮かせようとする」という記事を読み、見積書の塗料が適切な使用量になっているか分からないと言っていました。

たしかに、自分の家がどれくらい塗装面積があるのか、必要な塗料数はどのくらいなのか、確認することが難しいです。

そこで今回は、塗料の適切な使用数と、塗料の正しい希釈方法についてご紹介します。

外壁塗装を考える前に一度読んでみて下さい。

そもそも塗料って薄める必要がある?

塗料を薄めるなんてしたら、性能が落ちてしまうんじゃないか、と心配する方も多いはず。しかし、塗料は薄める事が可能です。

というのも、これもまた絵の具で例えると、チューブから出した絵の具をそのまま画用紙に垂らして筆で伸ばそうとすると、粘っこくて固く、絵の具はかすれてしまいます。塗料も考え方は一緒で、缶から取り出した塗料は硬く伸びず、塗りにくい状態です。

塗料の性能に影響しない範囲で希釈することで、伸びやすく塗りやすい状態にすることが目的です。

希釈材や希釈の割合はメーカーの仕様書に従う

希釈する方法ですが、溶剤塗料であれば、塗料用シンナーを使い、水性塗料であれば水道水を使うようメーカーから指定があります。

更に、どのくらい希釈する割合は、塗料メーカーが発行している塗装仕様書に必ず書いてあります。日本ペイントのパーフェクトを見てみます。

パーフェクトトップの場合、水道水を使って、2%〜5%希釈して下さいね〜ということになります。希釈で投入する量は秤を使って測っていきます。塗料によっては、希釈禁止(無希釈)のものがあったり、2%〜10%までと最低でも2%は薄めて下さいね〜。と指定がある塗料もあります。そのため、塗装業者は塗装する塗料に応じて必要な希釈を守らなければなりません。

悪徳業者は塗料をじゃんじゃん薄める?

塗装業者も良し悪しで、きっちりメーカー指定の希釈量を守るところと、全く守らず塗料を30%以上薄める塗装業者が居るのも事実です。

塗料をめちゃくちゃ薄める事で、塗料を増やして材料費を抑えることが目的です。他にも材料が塗装の途中で足りなくなってしまった場合、薄めてゴマかす事も行われるでしょう。

めちゃくちゃ薄めた塗料が塗られた外壁と、メーカー指定の希釈量で薄めた塗料を使い塗装した外壁を見ると違いは素人にはほとんど見分けが付きません。どちらも同じように見えるため事後見つけることはほぼ無理でしょう。

しかし、塗料の必要数をわかっていれば見積もりの段階と、着工し材料を確認する段階で見分けることが出来ます。

見積もりから必要な塗料の数を確認する方法

見積もりでは下塗り、中塗り、上塗りでそれぞれ塗る面積が記載されています。

仮に見積書に塗装面積が160m2と記載があったとします。

今回は、日本ペイントの売れ筋商品パーフェクトトップの塗装仕様書を見てみましょう。(塗装仕様書はカタログに記載されていたり、WEBで検索すると出てきます)

パーフェクトトップ仕様書

パーフェクトトップの場合、1缶で88〜136m2です。間をとって100m2塗れるとします。

今回は例にあげた見積書では塗装する面積は160m2ですので、1缶使ったとしても、60m2ほど足りません。

そのため、1.6缶必要という事がわかります。

しかし、ここで注意してください。塗料メーカーが仕様書に記載している塗り面積は、1回塗り当たりの塗り面積が書かれています。

中塗り、上塗りを考えると必要なm2は、

中塗りで160m2、

上塗りで160m2

=合計320m2となります。

改めて、パーフェクトトップは1缶で100m2塗装できますので、320m2塗るためには3.2缶必要ということがわかります。

このように見積書で自分の家の塗装面積を調べて、塗装仕様書から1缶当たりの塗り面積を確認。照らし合わせると必要な塗料の数が大体分かります。

自分の家の塗り面積は業者によってバラバラ。

ご自身の外壁を塗る面積は見積もりを依頼すれば現場調査で施工店が計算し算出されます。そのため、1社だけでは塗り面積が合っているのか比較ができませんので複数から見積もりを取り、それぞれの見積書に書いてある塗り面積の平均を自分の家の塗り面積の基準としましょう。

あとは、工事の前に使う塗料の数を確認することが重要です。

見積書では3.2缶使うと書いてあるが、実際の工事では2.5缶を薄めて3.2缶分使うことができてしまいます。

塗装前に使用缶数を現場で確認し、缶の中に余りがないか、希釈しすぎていないか、塗装仕様書を元にチェックしてみましょう。

因みにパーフェクトトップは水性塗料ですので、水道水で希釈すること、希釈の幅は3〜5%と指定があります。

このような方法で、必要数量や希釈材、希釈率を調べることが可能です。

悪徳業者に騙されないために自分で調べる力を付けよう

前にもお伝えしましたが、塗料は薄めることが出来て、薄めた塗料を使われても素人目だと気付きません。

塗料は失敗がきかず、後々の塗膜に影響が出てからでは補修が難しいです。そうならないためにも、自らが知識をつける事で、怪しい塗装店は見抜けるようにしましょう。

次回は、塗装工事は1日で仕上げる事が出来る?塗料の乾燥時間と工程についてご紹介します。

写真:https://o-dan.net/

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