前回は『外壁塗装における溶剤と水性塗料の違い』についてご紹介しました。
溶剤は、臭いが強いけど仕上がりがキレイで、水性は臭いが少ないけど浸透力が弱いという話でしたね。塗料選びでは、溶剤と水性の違いだけではなく『1液』と『2液』の違いについても非常に重要なポイントです。
そこで今回は、1液塗料と2液塗料の違いや、外壁塗装だとどちらを選ぶべきか、についてご紹介いたします。外壁塗装を考えている方は、是非参考にしてみてください。
塗料は液体から個体に変化する
そもそも塗料とは、皆さんご存知の通り最初はドロドロとした液体です。外壁に塗装すると反応して塗膜へ変化します。ここで知ってほしいことが、1液と2液によって塗膜になる方法が異なります。まずは1液の塗膜になる流れをご紹介します。
1液は自然に塗膜が作られる。
1液塗料は、絵の具と一緒で塗った直後から乾燥が始まり、時間と共に徐々に塗膜になっていきます。絵の具で絵を描くとき、描いた直後に指で触るとまだ乾燥しておらず、指に絵の具がくっついちゃいますよね?あれは絵の具が塗膜になる段階でまだ液体で乾燥中の状態です。
一方で、描いてから2時間したものを触ってみるとサラサラとして指に絵の具が付くことはありません。これは、塗膜となったため、手で触っても絵の具が手につかないというわけですね。
1液塗料は、硬化剤という塗料を固める成分を使わずに塗膜を形成する塗料です。硬化剤を使う必要がないため、1液塗料は2液塗料と比べると製品価格が安いことが特徴です。
水性1液塗料は外壁でよく使われており、日本ペイント『パーフェクトトップ』エスケー化研『プレミアムシリコン』関西ペイント『ダイナミックトップ』このような塗料が1液水性塗料です。各大手メーカーが外壁塗料のメイン商品として発売しています。しかし、1液水性塗料で屋根用塗料は少ないのが現状です。
1液溶剤は溶けやすい。
1液溶剤の塗料は、油性という性質上溶けやすい特徴があります。例えば、1液溶剤の上に溶剤塗料を使うと下の層にある1液溶剤塗料は溶けてしまいます。2液溶剤であればこのように溶けてしまうことは無いのですが、1液溶剤は硬化レベルが低く溶け出しやすいです。
2液塗料は塗料と硬化剤がセット
続いては2液塗料の特徴です。1液は時間の経過と共に塗膜へ変化しますが、2液の場合は、塗料に硬化剤を混ぜてから外壁へ塗装していきます。この硬化剤が入ることによって塗料を固めて塗膜になっていきます。昔は工事使われる塗料のほとんどが2液タイプでした。そのため、溶剤塗料と同様に歴史が長いです。
基本的に、2液タイプの塗料は、塗料と硬化剤がセットで販売されています。製品ごとに硬化剤の種類が違うため、他の塗料で余った硬化剤を違う製品に使うことはできません。塗装屋さんによっては種類の違う硬化剤を使い回すことがありますが、メーカーが異なる硬化剤を使用してしまうと硬化が100%行われず不具合を起こす可能性が高いので注意が必要です。
2液タイプの塗料で硬化剤を使わなくても塗膜になる?
2液タイプの塗料で硬化剤を使わずに外壁塗装すると、表面は塗膜になりますが、塗膜の内側はぐちょぐちょの状態となります。2週間程度経過すれば徐々に硬化しますが、完全に硬化するとは限らず。後々不具合に繋がる可能性が高いです。
1液塗料と2液塗料はどちらを選ぶべき?
1液塗料と、2液塗料はどっちが良いの?と悩まれる方も多いと思います。外壁塗料、屋根塗料どちらを選んでも問題無いです。しかし、1液溶剤(油性)塗料は避けましょう。
特に最近は屋根に使える水性1液塗料が増えてきています。水性塗料だから持ちが悪いということは無く、塗料メーカーは試験を行い塗膜の耐久性をしっかりと計測していますので、安心して大丈夫です。コストを考えると1液の方が安価ですので、とにかく安く塗装工事費用を抑えたい方は1液を選ぶようにしましょう。
塗料が塗膜になる方法に違いがある
1液塗料と2液塗料の違いについてご紹介しました。塗料のパターンを紹介すると、
1液タイプ水性塗料、2液タイプ水性塗料、1液タイプ溶剤塗料、2液タイプ溶剤塗料の4パターンが外壁や屋根塗装で使われます。
しかし、1液だからダメということはありません。技術の進化により2液タイプよりも1液タイプの塗料がどんどん増えてきました。将来的には、硬化剤には溶剤を使いますので、環境面の配慮から硬化剤を使わない1液タイプが主流になってくるはずです。
今回は塗料における1液と2液の特徴・違いについてご紹介していきました。塗料選びの参考にしてみてください。
次回は、『塗料を薄めて塗る悪徳業者がいる!?塗料の使用数と正しい希釈方法について』ご紹介していきます。
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